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WEBデザイナーに求めるスキル [2008-01-11]

※以前はてなブログで公開していたブログ(札幌のデザイン会社はIPOの夢をみるか)の引越版です。このエントリーは内容的に古くなってます。hatena内のリンクが残ってたら見逃してください。。。

一般的な話ではなく、少なくとも弊社でWEBデザイナーとして働くには、という条件での求められるスキルについて。ただし全部に該当するからといって即採用するわけではありません。そもそも募集しておりませんので(2008年1月現在)。

人と話ができること

ここでいう人とはもちろんクライアントのことで、基本的に客直案件しかやらない方針の弊社では、デザイナー自らが自分の言葉でプランを説明すること、あるいは必要な情報を聞き出してくることが求められます。デザインに関わる部分の会話能力も必要ですが、その前にシャカイジン的なスキルが当然のごとく求められます。そういう文脈で、スマートなスーツの着こなしを身につけることもデザイナーに科せられた命題です。

アンテナ

斬新なデザイン(ルック&フィール)のサイトを見つけておくこと。それから日々生まれる新しいウェブサービスを何でも自分で試してみること。ある種のデザイナーは既得技術でいったん仕事ができてしまうと、そこからなかなか踏み出さない傾向があります。新しいサービスに触れることで少しでも自分の感覚をアップデートし、新しいスキルを身につけることの抵抗感をなくしておいて欲しいと思います。

プログラム/サーバサイドの知識

かなり以前からいわれていたことですが、開発者とデザイナーの歩み寄りというのが開発がからむ案件でのテーマになることが多いように思います。特にユーザビリティの観点からインターフェイスを考えると、両方の要素が複雑にからむ事案が多く、ロジックはプログラマーが、ビューはデザイナーが、という切り分けでは良質なコンテンツが生み出しにくくあるように思います。

現場に即して考えると、開発者にデザインについてのスキルを身につけてもらうよりは、デザイナーにシステムサイドの知識を与える方が現実的かと思いますので、この方向での学習をWEBデザイナーに求めます。

最低限WEBサーバに関しての知識と、WEB開発に使われるスクリプト言語の基本的な知識、MVCの概念の理解、スキルレベルでは最低でもイベントドリブンでJavaScriptをコールするやり方、PHP・Rubyの変数から値の取り出し、データベースのフィールドを見て適切なフォームが構築できること、ぐらいが必要です。まだまだありますが。

スピード

スピード、スピード、スピード。手作業のスピードだけではなく、発想のスピード、情報収集のスピード、決断のスピード、等々。作業に関しては複数人で分担という方法もとれますが、それ以外は個人のスキルによるところが大きいと思います。多くの案件は十分な期日が(少なくともデザイナーが十分と思う期日が)用意されません。スムーズに取りかかれるよう、情報と頭の整理はいつでも万全にしておく必要があると思います。


その他にも細かいことはありますが(喫煙者不可とか!)、当たり前のこととして、高いクリエイティビティは必須です。どんなにコミュニケーション能力が高く、新しいことに敏感で、プログラムもばっちり、頭の回転も速い、という人でもデザイン能力が低ければそもそもデザイナーとしてやっていけません。そういうのをひとことで、センスがない、と言うようですが。

やっぱりセンスは大事。

♪ Sunriser / Ken Ishii

知らないということを知る [2008-01-09]

※以前はてなブログで公開していたブログ(札幌のデザイン会社はIPOの夢をみるか)の引越版です。このエントリーは内容的に古くなってます。hatena内のリンクが残ってたら見逃してください。。。

 製品やサービスに関してなにかしらのデザイン案件を頼まれたときに、どの程度掘り下げて知識を得ておくべきであろう。可能な限り知っておくというのが前提ではありますが、現実的にはクライアントと同じレベルまで知識・情報を得ることは不可能に思われます。

内容が難しい場合

 扱うもの、あるいはクライアントの事業内容そのものが高度すぎて完全に理解するには時間がかかりすぎるケース。時間があっても理解できるとは限りませんが。たとえば知識や技術そのものを扱う企業(機関)がクライアントがこれにあたります。弊社のこれまでの例では、大学の研究ユニットや研究組織、先進的な医療分野でのベンチャー立ち上げなどがあげられますが、多くの場合求められるのは、高度で専門的な内容を一般のレベルまでかみ砕いて表現することです。

 まず問題になるのが、「一般のレベル」とはどのレベルなのか。そもそも一般の人とはだれのことなのか。この前提が最初から我々デザイナー側と発注者であるクライアントで異なっていることがありますので、ここをきっちり確認して進める必要があります。塩基配列という言葉を理解する/しないで線を引くこともあれば、可処分所得が500万円以上/未満で線を引くこともあります。多くのクライアントは自社の事業分野の知識を「一般の」人にも求めすぎる嫌いがあります。

 そしてやはり、単純に難しすぎる、という問題です。イオンなんとか交換膜やら高硬度GEL素材の分子構造やDNAのタンパク質がどうのこうのとか。それでなくとも、自分には縁のない業種でのビジネス構造など全く想像の範囲外であり、ましてやそれをかみ砕いてわかりやすく表現する(当然かみ砕くには理解する必要があるので)のはかなりの困難を伴う作業です。

先入観のない斬新な視点での提案が求めらる場合

 よく知らないから言えることというのは存在します。知ってしまうことで、ある方向での可能性を最初から排除して思考してしまいがちです。特に業界(あるいは製品)特有の慣習を前提情報として得た場合、それを無視して考えることは難しいことで、その情報を共有した結果、クライアントがこれまでたどってきた袋小路に入り込む思考の道を仲良くトレースしてしまう可能性があります。これではデザイナーにアウトソースする意味がありません。

 これとは逆に、クライアントが斬新な視点を求めるために情報の提供を意図的に絞る場合もあります(実際ありました)。この場合まったく間違った方向の提案をしてしまうというリスクをデザイナーは(クライアントも)抱えることになります。情報の制限により制約をかさないという方法は、複数のデザイナーに広く案を求めるというケースでは有効ではありますが、期日が迫っているなど、クリティカルな状況ではリスクが大きすぎるかと思います。

知らないということを知る必要性

 知識の総量を100としたら、自分の知識は30である、あるいは40である、ということを認識する必要があります。自分がどこまで知っているかということを、自分自身はもとより、情報を提供する側のクライアントにも把握してもらう必要があります。それにより適切なレベルの情報を提供してもらい、またどこまで踏み込んだ表現ができるのかを把握してもらっておくことで、単純なレベルでの齟齬は排除できるように思います。

 知らないということ、知らない部分の情報を把握してもらっておくことで、例えデザイナーが誤解を含んだなんらかの表現をしたとしても、そこにクライアント側の情報提供に問題があったことがその時点で共有できます。そして次のバージョンではより「一般レベル」にかみ砕いた情報提供ができるはずです。

 重要なのは、一次としてクライアント側から情報提供を受けたら、どこまで理解ができているか、という情報をデザイナー側からフィードバックすることで、ここを曖昧にしたまま進むことはお互いに不要なリスクを抱えることになります。簡単に行うとすれば、ともかく質問を投げかけることと、理解できた情報をデザイナーらしく図で表現して見せることです。特にオリエンテーション時にその場で描く図は、意外に以後の制作物の根幹になったりすることがあります。この図で「理解度のコンセンサス」を確認しておくと、進行がかなり楽になることでしょう。

♪ Toward The Patrol Line / Fantastic Explosion

手帳に悩む。 [2008-01-08]

※以前はてなブログで公開していたブログ(札幌のデザイン会社はIPOの夢をみるか)の引越版です。このエントリーは内容的に古くなってます。hatena内のリンクが残ってたら見逃してください。。。

 ミーティング時のノートパソコンの使い方について以前書きましたが(このエントリー)、これはあくまで議事録ドリブンな会議手法がとれる場合において有効な話で、状況によってはやはり手帳にメモするというスタイルを取らざるを得ないことが往々にしてあります。

 で、この手帳について目下のところ、迷宮を孤独に彷徨うがごとく迷い続けています。ここ数ヶ月で何冊試したでしょうか。いずれもしっくりこない、というか、おおむね手に余すという結果です。

 手帳の役割としては、

    • 打ち合わせ時にメモをとる
    • スケジュールを管理する
    • アウトラインプロセッサ的にぐしゃぐしゃとかきつける

といったところが主なものだと思いますが、今のところ手帳を充分に機能させることができていません。

 一番の問題は、スケジュールやGTDをブラウザ上(つまりオンライン上)で管理しているので、それと紙に書かれた情報との整合性の問題。後で改めて入力する手間が発生したり、逆に手帳に書き写したりする手間があり、非常に無駄な気がしますが、この場合、手帳は単なる一時的な記録バッファであり、書ければ何でもいい(チラシの裏でも)わけです。必然的に求められる形態は、比較的に大きめで、罫線なども最小限(あるいは無地)の手帳ということになります。

 そう思い、14cm×20cmサイズの革表紙の手帳(ソメスサドルのオーガナイザー)を一時期使っていましたが、これが、重い。大きい。チラシ裏でもいいものにしては立派すぎて持て余しました。現在は社内でのみ使用するぐらいで、クライアント先には持っていっていません。

 反省を踏まえ、小型のものにチェンジ。丸善オリジナルのシステム手帳にしてみましたが、思いのほか文字が書きにくい。小さいのでどうしても片手で保持しながら書くことになり(新聞記者を想像していただければ。)、どうも打ち合わせというよりはご用聞きスタイルになってしまいます。それにメモ主体の使い方にしては機能が多すぎる。そういうわけで、ほとんど出番無く、終了。

 その後、性懲りもなくMOLESKINの赤を衝動買いしたものの、なんと最初のミーティング時に同じ手帳を使っている人に出会ってしまい、急に使用意欲が0に。仕事用ではなく、プライベートのスケジュール管理と支出記録のための手帳に役割変更しました。

 というわけで、今はたんなるB5の大学ノート最強な状態です。むしろジャポニカでいいぐらいの勢いです。

 どなたか優れものの手帳があったらぜひ教えてください。

    • スリムで、ノートPCと一緒に鞄に入れてもあまり重くなく、かさばらないこと
    • フリーフォーマットでわさわさ書き込めること
    • 後からリファレンスがしやすいこと(付箋は好まない)
    • 同じのを使っている人とかち合う率が低いこと

といったところがリクエストです。


♪ Stella by Starlight / Stan Getz

デザインの値段・再び [2008-01-07]

※以前はてなブログで公開していたブログ(札幌のデザイン会社はIPOの夢をみるか)の引越版です。このエントリーは内容的に古くなってます。hatena内のリンクが残ってたら見逃してください。。。

 家電などを思い浮かべていただければいいかと思いますが、大抵の製品には「性能」というファクターがあり、多くの場合それは数値で表すことができます。世の中にはそれら性能を表す信じられないくらいたくさんの種類のパラメーターがあり、単位があって、もしその数値のいわんとするところを理解できる知識があるなら、おおよそのその製品の「価値」を判断することができます。

 性能と価値の関係がスリリングな最たる例の一つとしてパーソナルコンピューターがあげられるかと思いますが、例えば今この文章を作成しているMacBookの性能は、

    • 1.83GHz Intel Core 2 Duo
    • 2GB 667MHz DDR2 SDRAM
    • 160GB S-ATA 2.5inch HD
    • GMA 950 VRAM 64MB

という主立ったパーツとそのスペックによって表すことができ、そこからおおよその価格を思い浮かべることも可能です)。

 おおざっぱに言って、価格はその製品の性能に比例し、より優れた製品は価格が高く、限られた性能の製品は相対的に安いと定義できます。容量450リットルの6ドア冷蔵庫は、225リットルで2ドアのものよりも価格は高いのです。そしてその事実に異議を挟む消費者はそれほどいないはずです。つまり性能と価格の比例関係は多くの消費者にとって納得しやすい事象なのだと思われます。

 さて本題。(狭義の)デザインにおいて、性能と価格の関係はどのように考えられるでしょうか。

 数年前ですが、札幌市の某区役所から環境保全に関しての啓発ポスターの依頼があり、デザイン費の見積を作成しました。競争入札でしたので数社の見積額が開示されたのですが(参加各社が揃っているその場で。あれはなんだか緊張する。)、驚いたことに最安値と最高値では実に約3倍もの差がありました。

 とある面積の平面に展開される文字や写真などの配置(物質的にはインク)によって、実に3倍の価格の差があるという事実。考えてみれば非常に不思議な事象です。価格が3倍だからといって、文章量が3倍あるとか、インクの盛り具合が3倍だとかいう世界ではありません。

 上記の例は道徳的観点の啓発ポスターですので、もし性能というファクターを考えるなら「啓発力」というパラメーター─数値は何でしょう。3.25kg/m?950ヘクトパスカル?46hsh/d(はっとした人/日)?─が考えられるでしょう。いいかえれば、そのデザインによっていかに多くの人の目を惹けるか、いかに多くの人の心を動かせるかが、そのデザインの性能といえます。デザインの性能は、家電や自動車などと違い、制作時に決定されるのではなく、使用されて初めて測定できるもののようです。

 故に、デザイン費は常に対象とするユーザーによって暗に決定されるべきで、ロイヤリティ(成功報酬)という形態がよくマッチするのだと思います。また、デザインが及ぼすビジネス上の効果を仮定することなく算出するデザイン費は、根拠のないナンセンスな数字であることがわかります。

 ページ単価○○円や、デザイン案一個につき○○円といった数量ベースのデザイン費を、ここに否定します。

 より心を動かすことができるデザインがよいデザインであり、'高価'なデザインである、という考え方が基本になるのだと思います。

♪ Jet Airliner / Steve Miller Band

試行錯誤 [2007-12-28]

※以前はてなブログで公開していたブログ(札幌のデザイン会社はIPOの夢をみるか)の引越版です。このエントリーは内容的に古くなってます。hatena内のリンクが残ってたら見逃してください。。。

 28日は会社の忘年会でした。油断すると社員数の2倍ぐらいのメンバーになったりしますが(関係各社やクリエイターのみなさん)、今年はしっかり自社のスタッフだけで行いました。ちなみにお店は「むらかみ」でかにしゃぶ→「風味や」でシングルモルト+漬け物という渋い流れ。風味やはスタッフの方のブログが人気ですが、この日もそつのない接客をなさってました。

 さて、経営者としての一年をざっくり振り返ってみます。経営者として、今年のテーマは「仕組み作り」でした。当初思っていたのは1クライアント1担当者(責任者)という体制で、進行管理はもちろん、予算配分も含めた売上管理まで1担当者が責任をもって行うという仕組みでした。メリットとしては、自分のクライアントという意識が持てること、情報が集約することで素早い判断ができて進行が早まること、競争意識が持てること、という想定でいましたが、これは半年程度の試行であまり機能しないことがわかりました。

 まずクライアントのアサインがうまくいかなかったことがあげられます。内容や性向を鑑みて割り振ったつもりではいましたが、結果的にミスマッチがあったと思います。ただ、あくまで結果の話なのでこれは経験値として次に活かせることになると思います。

 それから、スタッフに自分のクライアントであるという意識を持たせることができなかったことが、経営者としての失敗だったと思われます。一般論的に、何かひとかたまりの仕事を丸ごと人に頼む時、頼む立場の人間は最大値の結果を求め(「やってくれるだろう」)、頼まれる立場の人間は最小値の労力を望む(「やらなくていいだろう」)ようです。

 これを全く想定していなかったので、いたるところで問題が発生しました。当然やってくれているだろうと思っていること(例えばスケジュールの管理だったり、返事がないクライアントへの催促だったり、そもそもの案件そのもの!だったりetc)を、全く手をつけていないことが、これまた最悪にも、クライアントからのクレームで判明したこともありました。

 結局のところ、案件を任された方としては押しつけられた程度の認識しかなく、最小限の仕事(もしくは全く何も)でうやむやにしようとしてしまいがちなようで、期待値と結果の乖離があまりに大きく、まったくのやり直しになったケースもあり、これは本当に失敗だったと思います。

 進行管理も含めて任せていましたが、進行管理をしているかどうかの進行管理をすることが、経営者として求められていたと思います。

 次に試みたのは、クライアントとの接点を一元化し、全ての案件の進捗管理も行ってしまうという仕組み。メリットとしては、当然全体として効率がよくなることと、作業スタッフであっても横断的に全社の案件が把握できることがあげられます。

 ただこの方式にも問題があって、まずこの業務を担当する個人の能力に負うところが大きくなってしまうということ。些細なトラフィックもディレクター経由になることで時間を要すること。そして何より、デザイナーが直接コミュニケーションしないことで、確度の高いデザインが出来ない可能性があるということ。

 この仕組みに変えてまだ数ヶ月という段階なので、最終的な判断は保留としますが、工夫の余地はあると思われます。

 何より、1プレーヤーから専業経営者になることを決めて日が浅いので、まだまだ考えるべき事、決めるべき事が多い状況です。当然日々の案件をこなしつつ、よりよい形になるよう検証と修正を繰り返さなければいけないので、まだ試行錯誤の期間は続くと思います。


♪ To Zion / Lauryn Hill

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Author:
浜垣靖幸(Yasuyuki Hamagaki)

北海道札幌市のデザイン&デザインマネジメントファーム、株式会社ノイエカ代表取締役(2005年より)。デザイン会社・グートグラフィカ(2001〜2005)設立を経て現職。

主にクライアント企業のビジョナリー化をデザインを用いて支援する業務、公共・行政機関、教育機関などのデザインマネジメント、アーリーステージ企業の情報戦略支援を本業とする。必要に応じてプロダクトやWEBなどのコンベンショナルなデザインも行う。

hmj@neueka.com