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会社がピンチの時の特効薬(1/2) [2007-12-12]

※以前はてなブログで公開していたブログ(札幌のデザイン会社はIPOの夢をみるか)の引越版です。このエントリーは内容的に古くなってます。hatena内のリンクが残ってたら見逃してください。。。

 ─そんなものはない。以上。


 なんですが、もう少し掘り下げて見る。会社の経営状況を子細に分析してみると、日々仕事をしている中での手応えというか「儲かってる感」と、実際の帳簿上の成績との間でかなりのギャップがあることに気づく。とかく忙しく立ち回って、あれもやった、これもやったと思っていると、翌月ぐらいに顧問の税理士に売り上げ足りてませんよ、と指摘されてがっくりというパターン。

 忙しいのに売り上げが増えない。仕事があるのにお金がない。さて、その理由は。

  1. 儲からない仕事をしている
  2. 時間をかけ過ぎている
  3. 経費管理ができていない
  4. 実はそもそも仕事がない
  5. 仕事量にあった人員構成ではない

などが考えられるところ。

儲からない仕事をしている

 ある日、小規模な新規案件が入ることになり、担当者をだれにしようかぐるっと社内を見渡してみた。全員が忙しく働いており、仕事を挟み込める余裕はだれもない感じ。が、しかしだ。よくよく見てみると進行中なのは、「定例のメンテナンス仕事」、「やる見込みのない来年度の予算要求のための企画書作り」、「納品後のバグフィックス」、「いつになったら納品できるかわからない製品の試作品づくり」

であることに気づいた。つまりだ。みんな忙しそうに働いてるにもかかわらず、だれも1円も稼いでなかったのだ。ガクブルものである。

時間をかけ過ぎている

 とある方からご紹介いただき、ある研究組織のウェブサイトを制作することになった。挨拶をかねて最初のミーティングをもったのは、そう、この夏はじめての真夏日を記録した暑い夏の一日であった。案件規模から考えて制作にかけられるのは10人日程度と試算。そして今、雪が降りすっかり街も白くなり、もうすぐ今年も終わろうとしている12月。どうやらこれから納品のようだ。すごい。

経費管理ができていない

 ある製品パンフレット。予算は70。写真撮影にカメラマンとスタジオを押さえた(15)。モデルとスタイリストも手配した(12)。撮影小物にもこだわって物もそろえた(5)。印刷の手配もすでに完了(36)。ばっちり。儲けもでてるし。・・・本当か?給料いらなのか?

実はそもそも仕事がない

 月の経費というのはあらかじめわかっている。事務所の家賃を滞りなく払い、全員の給与を淀みなく払うために必要な額。で、そもそもその額を上回る案件が手元にあるのかどうか。長期プロジェクトもあるので計算は複雑になるが、ようするに「足りていない」のではないか。

仕事量にあった人員構成ではない

 上記とは逆の考え方。そもそも入ってくる仕事量に対して人が多いのではないのか。効率を上げるともっと少ない人数でできるのではないか。ただ、これには否定的な思い。役割としてかぶっている人員はいないはずだから。


(その2に続く)

♪ I Saw The Light / Todd Rundgren

一発すごいwebサービスでGかMに買収される! [2007-12-09]

※以前はてなブログで公開していたブログ(札幌のデザイン会社はIPOの夢をみるか)の引越版です。このエントリーは内容的に古くなってます。hatena内のリンクが残ってたら見逃してください。。。

 一応起業家という属性の一団の中で最下層に近いところをうろうろしている身としては、起業のあり方についていろいろ思うところがあるわけです。自戒も込めてベンチャー的な姿勢の再確認を。

 ごく当たり前のことですが、スタートアップ企業がすべてベンチャーなわけではありません。ばっさり線を引くなら、リスクをとって未開の─少なくとも見渡す限りにおいて未開に見える─地平を目指すのか、それともカーナビのアナウンスとともに見知った札幌市西区新琴似を行くのか、といったところ。

 近しい創業者の知り合いは、総じて前職からのスピンアウトだったりのれん分けだったり、あるいは独立という名の謀反だったりがほとんどで、基本的にまったく同じ業種か、または近い系列の業種で起業しています。そういう方々と起業するリスクについて話が及ぶことがままあるわけですが、個人的にいつも違和感をもっていることがあって、それは、

  • 経済的に厳しいことと「リスクをとる」ことはイコールではない
  • 個人のリスクと企業のリスクは、これも別もの

ということです。

 企業の一社員として働いていて、そこから独立するかたちで起業したというケースでは、多くの場合収入が不安定になるのは当然のことであって、それを指して「ベンチャーだからリスクをとって勝負している」などという表現になるのは、ほんとどうかと思います。

 また、創業者個人としての経済的リスク(ようするに収入の減少、あるいは不安定化)は、直接には企業としての姿勢ないしは方向性とは全く関係ないわけで、キープコンセプトの手堅い商売をしていながら「リスク」発言をするのは、地下鉄に乗って冒険にでかける宣言のようなもの※かと。

※はたから見て恥ずかしい発言、の意。

 少なくとも起業時において、これまでにない新しい何か─新しい市場、新しい手法、新しい技術等々─なんらかの不確定な項目があって、それが取り得る最大の数値をとった場合、大きな(爆発的な)リターンとなるかも、というのがやはりベンチャーだと思うのです。

 

 今は、例えば「一発すごいwebサービスを立ち上げてGoogleとMicrosoftの買収天秤に乗るのを目指す!」とか発言することは、小学生の将来はJリーガー発言と同等と見なされているふいんき(あ、いけね)がありますが、何がいけないんでしょうか。別に風説の流布に当たるわけでもないですからどんどん言ってもいいと思います。だれかひとりぐらい勘違いしてエンジェルになってくれるかもしれません。

 リスクをとらずして何がベンチャーか。もう一度基本的なビジネスモデルを見直してみようかと思います。


♪ David / Akiko Yano

スープカレーが地元オリエンテッドマンションに [2007-12-07]

※以前はてなブログで公開していたブログ(札幌のデザイン会社はIPOの夢をみるか)の引越版です。このエントリーは内容的に古くなってます。hatena内のリンクが残ってたら見逃してください。。。

 以前会社から歩いてほんの数分のところに美味しいスープカレー屋があった。あまり一人で食事をすることは好まないが、その店は例外で、ひとりの時でも発作的に足が向いてしまう希少な店だった。特に軽く素揚げされた野菜が神懸かって美味しく、普段の野菜不足な食生活がだいぶ救われていたと思う。

 しかしだ。ある日しばらくぶりに歩道橋を渡りその店の前まで、というかそこのブロックまで行ったところで呆然と立ちつくしてしまった。そこにあるべきはずのスープカレー屋が「ない」。スープカレー屋だけではなく、そこの一区画にあった大小の雑多な建物群が丸ごと忽然と姿を消していたのだ。そこには荒くならされた土埃でかすむ更地がただ広がっているのだった。

 嗚呼再開発。文字通りのスクラップ&ビルド。Yellowはいずこへ★。

★ 南3西1に移転してます。

 どうやらマンション建設予定地となったようで、心の中で毒づきつつ歩道橋を渡って戻ってきたわけですが、それから約一年。

 とある会社から新築マンションのプロモーションへの協力要請が弊社に。キャッチコピーから始まり、ウェブやPRツール類やらでご協力。

 そう、話の流れ的に見え見えですが、そのマンションこそそのスープカレー屋をぶっつぶした後に建てられたマンションだったのだ・・・。


■メイドインサッポロ

 魂など簡単に売り払う所存の業界末端受注業者であることを自虐的に述べたいわけではけしてなく、このマンションの「地元オリエンテッド」なプロジェクトのあり方に思うところ(賛同)があったので触れてみた。

 これを建てた建築デザイナーの方からして、東京からのUターンで、地元(札幌)で仕事をしたいがために自ら会社の札幌支社を立ち上げたというストーリーの持ち主。そしてプロモーションにかかわる制作会社や代理店までも地場の企業で揃えたいという意向(さらに若手のクリエイターなども積極的にフィーチャーしていきたいとのこと)で、ここにシンパシーを感じたわけです。

 昨年、オール北海道で組まれたプロジェクトから生み出されたプロダクトがGOOD DESIGNに選ばれて以来(型の制作まで道内企業だった)、単に近場で手を組むということ以上に、同じ経済域というか地政というか、境遇といってもいいかもしれない、そういう立場にある企業が組むことに意味・意義があることに気づかされた。

 簡単にいえば、外貨を稼ぐということと自分たちの暮らしをよりよくするということに集約されるのだけど、ようは「北海道/札幌が好き」ということが明示的であれ暗黙的であれ共有されており、そのために自然と各ステークホルダーがおのおの丁度よいリスクを引き受けあうということに繋がっていたと思う。結果的に市場に対して挑戦的な試みができたことが結果に表れたのではないかと。

 マンションのレジデンシャルブックで面白い試みができそうです。現在、積極的に札幌で活動することを選び取った各方面のクリエイターの方々を集めて、楽しい企画を進めています。おいしいスープカレーを食べつつ、アイデアを練る日々。


♪ Cocteau Twins / Evangeline

最後にひっくり返されないためのデザイン進行 [2007-12-03]

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 制作案件におけるデザインの役割は、MVCのアナロジーでいえばVIEWにあたり、ユーザーインターフェイスに関して責任を持つべきだ、というのが弊社の持論。インターフェイス(さらにいえばユーザーエクスペリエンス)に関して責任を持ち、リスクを取り、その対価をデザインフィーとして頂くこと。そういうスタンスで臨むため、クライアント側のプロジェクトに対する決裁者には、あなたの仕事はデザイン決定ではなくデザイン戦略決定であり、デザインによって獲得するべき具体的な目標を設定することですから、と言っている。

 案件を進める上でいつも気をつけていることは、最終的な判断を下す人(決裁者)を常に意識し、要所要所で進捗具合、方向性をリークしておくことだ。ベストなのはプロジェクト自体に決裁者を巻き込んでしまうことだが、難しいことが多いであろう。なので、アンオフィシャルな形でもかまわないので、今こうなっているということを直接伝えるようにしている。これをクライアントの担当者に任せてはいけない。こちらとしては可能な限り、1担当者へのルート と 2決裁者へのルート の両方を確保しておき、情報の取得にせよ方向性の調整にせよ、2つのルートからコントロールが効くようにしておくことが肝要だ。いらぬ手間・労力が必要だが、それにより完成間近でそれまで何のコミットもしてこなかった決裁者に全てをひっくり返されるリスクはかなり減らすことが出来るであろう。

 基本的なことだが、関係者間での情報共有は徹底するべきで、なおかつ情報共有のための時間(連絡会的なもの)をわざわざ設けないで済むようななんらかの情報共有ツールを用いるべきだ。最も手軽なのはプロジェクト用のメーリングリストを使って、たとえ1 to 1のメッセージでも1 to n にすることで情報を共有するやり方。これは手軽な反面、時間軸での変遷・経緯がわかりにくいことと、ドキュメントの共有には向かないという欠点がある。

 連絡にはメールやMLを用いるとして、wikiを使った情報共有を今のところスタンダードとしている。もちろんクライアントにもアカウントを発行し、議事録から成果物のチェックにまで用いている。

 ある案件では、デザイン案に関する簡易なwikiをクライアント社内に広くアナウンスしてもらったことで、直接の担当部署だけではない多くの社員の意見を吸い上げることができ、大変有効であった。さらにその制作物(ウェブサイトだった)が完成した後、「自分も意見をいったサイトができあがった」という意識を多くの社員が持ってくれたことで、その企業全体のネットに関するリテラシーが上がったという副次的なメリットもあった。

 今現在は制作進行に関するそういったツール類(連絡用、情報共有用、コンセンサス用、それから見積〜請求までの事務仕事用まで)は既存の各種サービスを組み合わせて使っているが、これを自社開発したシステムに置き換えている段階だ。


♪ Road To Nowhere / Talking Heads

 

学生へ・デザイナーを目指すべし [2007-12-02]

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 先日デザインを学んでいる若い大学生の方々と話をしてみた。彼女たちは基本的にはデザインが好きなものの、仕事としてのデザインについてはずいぶん悲観的なイメージを持っている様子。

 確かに広告の(それも流通メインの)グラフィック系デザイン会社は相当にハードワークなのはみなさんもご承知かと。家帰ってる?という状態の方もちらほら。

 いっぽうでメディアに登場するデザイナーはかなりカッコイイ。その作品はもとより、デザイナー自身のライフスタイルや言動が注目されていたりして、先の若い学生たちも影響をうけているとのこと。でも、端的に言って違う世界と認識しているらしい。

 学生たちがデザイナーという職業にネガティブなイメージを持っているということにショックを受けつつ、そういえば自分たちがまだ卵か、あるいは駆け出しだったころはどうだっただろうかと、ふと思い返してみた。


 デザインの世界に入ったのは、かれこれ15年ほど前。世の中はまだ非常にバブリーなムードの頃で、入社した日から歓迎会と称して連続3日間すすきのに繰り出すぐらいの超アッパーな日々が待ち受けていた。デザインの仕事はとても華やかで、電○やら○報堂から丸投げされたイベント案件を企画書やらデザイン案に落とし込むという、20代前半のスタッフには殆ど遊びの延長がそのまま仕事になるような感じ。

 道具的にもちょうどアナログ→デジタルの移行期で、導入されたばかりのMac(SE30とかIIsiとかciとかfxとか)をどう使ってやろうかと試行錯誤する日々。ほぼ毎日夜中の2時3時まで会社であれこれ試し、かなりの頻度ですすきのに遊びに行き、翌日また仕事みたいなサイクル。いつ寝てたのか。

 しかし楽しい時期はいつか終わるもの。バブルもはじけたある年のある日、いつもの通り出社した僕らは、会社のドアに「財産保全命令」という張り紙を目にしたのだった(つまり倒産)。後で知ったが億単位の負債だったとのこと。たかだか10数名のデザイン会社が億単位の借金ができたこと自体びっくりだが、そんなことはおくびにも出さず突然失踪した社長には全くしてやられた。(ちなみにその日は僕の誕生日だった。Happy Birthday to me.)

 その後紆余曲折あり、20代最後の年に起業するわけだが、その間デザインの仕事は常に楽しく、面白く、新しい発見の連続であり、自分のスキルが上昇すればその分仕事の幅も広がるというとてもやりがいのある仕事であり続けた。もちろんそれはスタイリッシュなものではなく、どちらかといえば泥臭く、地味で、一般的には辛い(長時間の労働と低い対価)仕事であった(今もだけど)。

 デザインを学ぶ全ての学生に伝えたい。

 デザインという仕事は、完全に実力次第で、自分のスキルやセンスの成長がそのまま仕事にダイレクトに反映される最高に面白い仕事である、ということを。日々をただ何となく過ごしてしまうタイプの人には向かないと思う。自分で好奇心のアンテナをたて、新しいテクノロジーを取り入れ、新しいライフスタイルを学び、知らない場所に飛び込んでいく挑戦を恐れずに続けられるなら、間違いなくデザイナーとして成功できると思う。迷いなくデザイナーを目指すべし。

 といいつつ、自分の仕事を脅かす若い芽は今のうちに摘んでおこうと思っていたり。


♪ Norwegian Wood / The Beatles

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Author:
浜垣靖幸(Yasuyuki Hamagaki)

北海道札幌市のデザイン&デザインマネジメントファーム、株式会社ノイエカ代表取締役(2005年より)。デザイン会社・グートグラフィカ(2001〜2005)設立を経て現職。

主にクライアント企業のビジョナリー化をデザインを用いて支援する業務、公共・行政機関、教育機関などのデザインマネジメント、アーリーステージ企業の情報戦略支援を本業とする。必要に応じてプロダクトやWEBなどのコンベンショナルなデザインも行う。

hmj@neueka.com