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札幌のWEBデザインを巡る動き [2007-12-01]

※以前はてなブログで公開していたブログ(札幌のデザイン会社はIPOの夢をみるか)の引越版です。このエントリーは内容的に古くなってます。hatena内のリンクが残ってたら見逃してください。。。

 昨日は偶然にも札幌のWEBデザインに関する重要な動きが2つ重なった一日でした。そのどちらにも関わっていたことから、意図せず2つの動きを結びつける役回りとなってしまった(しまった、というところがミソ)。

 ひとつはWEBデザインプロダクションが一同に(といっても数社だけど)が集まり、同じテーマのもとプレゼンテーションしあうというイベント。

 札幌市のクリエイター支援プロジェクトCROSSINGが主催して、一般企業とクリエイターを結びつけるビジネスマッチング交流会(通算何回目?)が、昨日、豊富町から豊富温泉の方々をお招きして行われました。WEBを作りたいのだけど、なにかアイデアはありませんか、という投げかけにクリエイターが応えるというのがざっくりした趣旨。

 運営側の立場だったので個々のプレゼンのできや感想などは差し控えますが、総評的に思ったことをいくつか。

 まずWEBデザイン会社のみなさんがプレゼン慣れしていないことが、ありありと、というか、まざまざと、というところ。

 10分という時間は圧倒的に短いので、本当に工夫しないと言いたいことが何も伝わらずに終わってしまいます。そういう意味で「慣れてなさ」が一番あらわれたのが導入の部分。いかにスムーズに本題に入れるかが問われるところですが、慣れていないせいか、中には10分しかない持ち時間の冒頭3分ほどを要領を得ない自己紹介に使ってしまっていた方も。(5秒で事足りるはず。)

 次に、お題目(今回の場合、温泉街のWEBサイト)が示されていることに対してのアプローチが大きく2つに分かれたことが特徴的でした。一方は、お題目に対してそれなりの事前調査を行い、テーマ自体にコミットしたプレゼンを展開したところ。もう一方は、あくまで自社の実績やスキルの説明に終始したところ。言うまでもないですが、前者の方が印象がいいわけです。この違いは実は普段やっている形が、クライントと直接対峙しているか、それとも間に代理店なりディレクションを行う会社が入っているかの違いだったりします。

 

 そしてこれが一番気になったことですが、今回の事案を「WEBの制作案件」ととらえたか、それとも「温泉街のプロモーション全体(の一部)」ととらえたか、です。大変失礼ながら、今回のクライアントはWEBはもとよりプロモーションやらマーケティングに関してはほぼ専門的知識のない方々です。WEBを作りたいと言っているから、はい作りましょうでいいのでしょうか。

 事前に現地に行ってみたらわかることですが、WEBを作る前にサービス自体を見直す必要があることは一目瞭然です。(これについてはこちらに書きました。)

 そういったことをふまえた上で「WEBサイトの提案」がなされるべきで、残念ながらそういう視点での提案をされたのはお一方だけでした(この方はWEBの提案をあえてしなかった)。

 気になることが多かったとはいえ、中には(パーツのアイデアとして)面白い提案をしたところもありました。もう少しこういった機会を経験し、経験値があがればビジネスの規模も大きくなるのかも、と思いました。

(徹底的にはずした、まったく空気の読めない方が約一名。一同ky!と思ったはず。)


 この交流会に先立つこと2時間前、東京から来られた日本WEBデザイナー協会の事務局の方とお会いしていました。主にWEBデザインに関するスキルにお墨付きを与えよう(WEB検定)というのと、WEBデザインのアワード(WEBのアワードではなく)を行うのを目的とした団体で、東京、大阪、仙台に続いて札幌に支部を立ち上げたいとのことでした。

 情報交換として札幌のWEBデザイン周りの現状をお話ししましたが、デザイナー個々のスキルはともかく、ビジネスとしてのWEBデザインは相当に立ち後れているというのが確認できました。

 偶然CROSSINGのイベントと重なったのでそちらの会場にも顔を出していただいたのですが、本来地元のプロダクション間で横のつながりを作り、スキルの向上に共同で取り組むとか、大きな案件を戦略的に組んでやってみるとかいうのはとっくに自発的に行われているべきで、少なくともどこに何というWEB会社があるかぐらい、どこか(経済局?ITなんちゃら協会?)が情報を持っているべきなのでは、とおもった次第。


♪ Blue Moon Blue / Yukihiro Takahashi

勝率100%のプレゼンテーション [2007-11-29]

※以前はてなブログで公開していたブログ(札幌のデザイン会社はIPOの夢をみるか)の引越版です。このエントリーは内容的に古くなってます。hatena内のリンクが残ってたら見逃してください。。。

 これは自慢していいことだと思うのではりきって自画自賛するが、我が社はデザインによるコンペティションで負けたことがない。ここ3年間で20戦20勝ぐらいの成績で、勝率100%。つまりプレゼンテーションする機会さえあればその案件は必ずゲットできるということで、イチローよりもバレンティーノ・ロッシよりも全然すごい、と言えるだろう。これまで零細デザイン会社にしてはそこそこ大きな案件をやってきているのは、コンペで勝って受注→評判や口コミでさらに次の案件、という流れが大部分である。

 どうやってるのか。当然コツというかノウハウがあるわけで、ここに公開してしまうことにする。必ず勝てるなんて、いったいどんなデザインをしてるのか、ものすごくデザインスキルが高いのかと思うかもしれないが、それは勘違い。クオリティの高いデザインは必須として、しかし、それだけでは全く不十分。


■勝てるコンペにしかエントリーしない

 のっけから莫迦にしたようなコツで恐縮だが、これが最も大事かも。そのコンペティションがいわゆるデキレースではないか、レギュレーションに問題がないか、単なる見積額の大小で決まってしまわないか、などは最低限チェックする必要がある。そしてこれが肝心。決裁権をもっている方に直接プレゼンテーションの機会があたえられているかどうか。デザインコンペはプレゼンがすべてです。


■訴えるべきはベネフィット

 何ができるか、どうやってやるか、などという話は「こっち」の話であって、「あっち」にはほぼ関係ない。それより訴えるべきはクライアントの最終的なベネフィット★1なので、このプランを採用した場合の(あるいは自社をパートナーとして迎え入れた場合の)ベネフィットを正しく示す。まずはこれが大前提。これによりクライアントは、このデザイナーが何を目指してデザインを行ってきたのか、自社のビジネスをどのように理解しているのか、ビジョンを共有できるパートナーになりうるのかが判断できる。

★1 ベネフィット:直訳すれば利益。ただし必ずしもバリューとしての利益だけではない。

■問題のre-デザイン

 なんらかの解決すべき問題があるからデザインが求められているはず。たとえば売り上げをあげたい、客を増やしたい等々。その解決すべきことがらを分析・解体・再構築して、あらためて「問題をデザイン」し直してあげる。ひらたくいうと、要件仕様に対して茶々を入れるということ。

■解決に至るストーリー(作戦)

 解決すべき問題を再設定したら、それを解決するストーリーをわかりやすく示してあげる。当然最終の落としどころは提案するデザイン案になるので、そのデザイン案がソリューションとなるような解決への流れ=ストーリーを作り上げる必要がある。

 もしキメのデザイン案が「赤」だったら、もうここに使うべき色は赤しかないよな、と思わせるストーリー設定をしてしまえばいい。

■ここでやっとデザイン案を提示

 あとはそこにすっぽりはまるデザイン案を見せればいい。弊社ではこういう場合、デザイン案は一案しか提出しない。これまでの流れから、ソリューションが複数存在すると思わせたら負けだからだ。それにここまでの筋道のおかげで、自動的にデザイン上の些末なことは目をつぶってくれるようになっているはず。よくある、担当者の単なる好みで(赤が好き、青が好きetc...)左右されることをあらかじめ排除してしまうのだ。

■実効性の証明と次への布石

 最後にスケジュールや体制的なことを説明し、絵に描いた餅ではないことをわかってもらうのと、必ず次への展開にもふれておくこと。多くのクライアントは、「今回ここまで達成できるので、こういうファクターを将来追加すると、ほら、さらにこんなことが実現しちゃいますよ」という話にめっぽう弱い。これは裏側の意味として、将来的な可能性を付与することでプロジェクトの効果測定を先延ばしできますよ、と担当者にささやいていることでもある。


 以上がプレゼンテーション必勝法の骨子ですが、もちろんまだまだテクニックやノウハウはあります。ずいぶんプレゼンテーションセミナーをあちこちでやらさせてもらいましたま、肝心なところは秘密なので、上記は参考程度ということで。


♪ A Love Song / EGO-WRAPPIN' w/ Determinations

ミーティング時のノートPCは右45° [2007-11-28]

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 お客さんと打ち合わせするときは、大抵ノートPC持参で臨んでいる。打ち合わせしながらその場で議事録を作成していき、だれかの「じゃそういうことで。」のクロージングの声とともに出席者や関係者にメール送信してしまうやり方。これで自社に戻ってから改めてメモなど見ながらTODOを起こしたりする時間が節約できるし、取りこぼしも減るし、言った言わない的な不毛なこともおきにくいはず。

 しかしこのスタイルは結構難しい。陥りがちなのが、目の前のモニタに注視してしまい、相手との微妙なコンタクトが失われること。相手にとっても、なんとなく上の空で話してるような印象になりがちで、間違いなく印象はよくないであろう。なので、

  • 目線を落とさず、ブラインドタッチでばきばき打つ

…というスキルが必要になってくる。これで相手の表情の微妙な変化も読み取れ、提示したデザインプランのフィット具合もわかるはず。

 さらに、ノートPCをおく場所にも気をつけている。自分の正面ではだめなのだ。これは微妙なことだけれども、もし相手が手帳かなにかに、片手で隠したり、持ち上げて背表紙しか見えない位置にしてこっちに見えないようにコリコリ書き付けていたら、すごく気になりませんか。

 なので、ノートPCは斜め右45°ぐらいに。そうすると相手からはちょうど真横が見えることになるので、画面は見えないけど、遮蔽されている感もない、という具合になる。ささいなことだけど。


 で、今現在(2007/11)ミーティング時の専用マシンは相当型遅れのThinkPad X40。かなり荒くガシガシと使い込んでいる。非常に道具感の強いPCかと。メインで使っているマックは浮気性でちょくちょく買い換えているのに、特に思い入れなく道具的観点で選んだThinkPadはかなり長続きしている。

ここ↓に今聞いている曲を書くのは江島健太郎氏のまねだったりする。

Two months off / Underworld

3年目に会社をデザインし直す [2007-11-26]

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 新しく興された会社のある一定数は3年以内に活動をやめてしまうらしい。半年後というところにひとつ大きなピークがあるとも聞いた(当初の操業資金がちょうどなくなる頃だ)。3年といえば当初のパッションと勢いだけで乗り切れた時期も終わり、組織としての構造的な問題も表面化しはじめ、リソースへの投資と売り上げの上昇がリンクしなくなってくる頃合いではないだろうか。少なくとも弊社はそうだ。

 もちろん細かいアップデイトは繰り返してきたし、短期の位置確認と軌道修正はかかさなかった(朝令暮改的な意味で)けれども、やはりここにきてもう一度全てを精査し組み立てなおす時期がきていると思う。実感としてそれは創業時と同じくらいのエネルギーがいる作業であり、ほぼスクラップ&ビルドに近い感覚がある。

 問題はそれなりにできあがった体制を崩す際に、クライアントやパートナーに影響を及ぼすことになりかねないのと、なにより自社のスタッフに大きな負担を強いることになることだ。多くの場合組織変更というのは小学校時代の席替えほど楽しくはない。経営陣が改善と思っていたとしても、現場の人間は状況がより悪くなったと受け取ることが多いように思う。

 がしかし、それは必要な行程であると、強く思う。次の3年間を無事に乗り越え、また新しいフェーズに組織を持って行くには、ずれてしまった目標地点と着地点のギャップを一度チャラにしておかなければならない。


・・・と、自分に言い聞かせ的に記す。本当はいろいろ迷ってはいるし、開けなくともいい箱を開けて加速度的に状況が悪くなった場合の責任の取り方もわかっていない。が、必ずや実行する。熟考の後の直感は信じるに値するというのが、これまでの経験から学んだことの一つだ。


♪ 今日はBGMなしで

 

そのデザインおいくらですか? [2007-11-25]

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 ものの色形を決めるという狭義のデザイン業務の対価、これをどのような根拠に基づいて設定するかで随分と悩んだ時期があった。こっちも生活があるのでこれぐらいは欲しいとか、相場的にこれぐらいしか請求できないなとか、そもそもこの額で〜と決められているとか。

 時々デザイン系のセミナーに関わることがあり(8:2の割合でしゃべる方:聞く方)、質疑応答タイムというのがお約束であるのだけど、若いデザイナーが(時としてそれほど若くないデザイナーも)デザインフィーの設定について、まるで仕込みのように必ず質問してくる。みなさん同じ通過点を共有してるのですね。

 基本的に弊社はクライアント直の案件しかやらないので、フィーの交渉にはかなり有利であるには違いない。がしかし、それは裏を返すと金額関係の調整をしっかり自分たちで行わなければならない、というか、うっかりしてると百戦錬磨の中小企業社長にやられてしまうという意味でもある。値切るという行為を通り越して、なんとかそれタダになりませんかね、などとつらっと宣う方も過去いらっしゃった。

 そういう時いかに顔色ひとつ変えず、眉も微動だにせず、欲しいと思う対価をきちっと主張できるかどうかは、場数もあるが、やはり体系立てられた業務行程の組み立てルールが社内的に出来てるか、それぞれの行程や担当者における単価設定がなされているかによると思われる。つまり根拠ある金額であるかどうかということ。

 いろいろ思い悩み、結局たどり着いたのは非常にオーソドックスな身も蓋もない考え方で、

  • スキルレベルに応じた単価×時間(いわゆる人工計算)
  • 初期費用+発注者が得る利益×係数×個数 (いわゆるロイヤリティ)

に集約することに決めてしまった。もちろん人工ベースで見積もることの弊害も把握した上で。

 優先順位としてはロイヤリティベース→人工ベースの順で、ロイヤリティで計算できない案件(クライアントに利益が発生しないとか)、あるいはロイヤリティベースでは利益がでにくい(見込みロイヤリティベースの額<人工ベースの額)案件の場合のみ人工ベースで見積もることにしている。

 つまり、これはいけそうと思われる案件についてはデザイナー側もリスクをとってロイヤリティベースにし、かわりに積極的に(時としてその製品やサービスの根幹に踏み込むことも厭わず)関与するスタイルをとり、そうではない案件ではリスクをとらず短期で回収してしまうわけだ。

 非常にシンプルでわかりやすい。少なくともこれまでクライアントに高いと言われたことはあっても、なぜ高いのかとは聞かれたことはない。そうだよねーこれぐらいかかるよねーが定番の台詞。こちらのリスクテイクを説明し、それに相当する対価を明確に示せれば大抵は納得していただいている。

 ランチに入った店にメニューがなく、じゃぁカレー(好物)はいくら?と聞いてるのに、んーいくらぐらいですかねーいくらなら出せます?よそはいくらでやってました?なんて店員に言われたら即座に席を立ちませんか、普通。

デザインフィーは明確に、きっぱり提示。これが大切。

※ロイヤリティベースで行く場合、回収できるかどうかの見極めと、回収できるタイミングには細心の注意を払うこと。契約書を取り交わすのは当然必須。経営的にキャッシュフローの把握・管理もしっかりと。


♪ I'll Never Fall In Love Again / みちしたの音楽

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Author:
浜垣靖幸(Yasuyuki Hamagaki)

北海道札幌市のデザイン&デザインマネジメントファーム、株式会社ノイエカ代表取締役(2005年より)。デザイン会社・グートグラフィカ(2001〜2005)設立を経て現職。

主にクライアント企業のビジョナリー化をデザインを用いて支援する業務、公共・行政機関、教育機関などのデザインマネジメント、アーリーステージ企業の情報戦略支援を本業とする。必要に応じてプロダクトやWEBなどのコンベンショナルなデザインも行う。

hmj@neueka.com