WEBデザイナーの淘汰 [2008-05-21]

※以前はてなブログで公開していたブログ(札幌のデザイン会社はIPOの夢をみるか)の引越版です。このエントリーは内容的に古くなってます。hatena内のリンクが残ってたら見逃してください。。。

 まったくの主観ですが、だれでも参入できるWEBデザインの世界は2000年頃に終わったと思っています。それまではアーリーアダプターではないグラフィック領域のデザイナーが一周遅れぐらいでWEBのほうに入ってきていて、コーディングもSEOも全く考慮せずきれいな「一枚の絵」的デザインをしていました。文字通り一枚の画像を切り分けたりクリッカブルマップを駆使したりして、「1ページに画像1枚べた貼り」というある意味斬新なことも許されていましたが、明確にはわかりませんが2000年のあたりを境に、そういった方たちは退場されていったように思います。

 そして次の2〜3年で、動的なコンテンツへの対応ができなかったデザイン会社が消えたと思います。自社で開発までやるかどうかは別として、少なくともクライアントへの提案として、データベースを活用することで何ができて何ができないのか、CMSを入れるとフローがどうなるのかといったことに対応できなければ、WEB構築を生業とする会社としてはやっていけなかったのは間違いありません。

 今はWEB標準への準拠やSEO/SEMへの対応、RSSの活用、MVCスキームでの開発サイドとの分業、リッチコンテンツの取り込みとajaxを利用したインターフェイスの構築等々、ずいぶんと必須ファクターが増えたことでプロフェッショナル化が進み、淘汰も一段落した感があります。一時期跋扈していた「ホームページ一式10万円」みたいな捨て身の肉弾系(?)WEB会社はずいぶん減ったのではないでしょうか。

 今後もWEBデザイナーの淘汰は続くことと思いますが、では、生き残るWEBデザイナーたちはどのような立ち位置に収束していくのでしょう。

クライアントのビジネスにコミットする「コンサル系デザイナー」

 今も自称コンサルタントは多数いらっしゃると思いますが、今後よりマーケットが高度化し、付け焼き刃的な、あるいは経営セミナー聞きかじり的な知識・経験では立ちゆかなくなっていくでしょう。その中で、MBA(経営学修士)や中小企業診断士の資格を持つなど、専門的で高度なビジネススキルを持ったデザイナーだけが、クライアントのビジネスに直接関与し、相当分のリスク(責任)を負いつつもコンサル系デザイナーとして生き残っていくでしょう。

高いクリエイティビティで勝負できる「クリエイター系デザイナー」

 クリエイターと呼ばれる(もしくは自称する)方たちはたくさんいますが、ここでの意味は、より具体的な「ニッチスキル」を身につけ、高いクリエイティビティを駆使して要求に応えることができるデザイナーのことです。Flashばりばり、とかとは意味が違います。少なくとも制作したものを「作品」と呼ぶデザイナーは含まれません。(フィーをもらい、要求に従って作るものは作品ではなく「案件」)

 スキル領域毎に棲み分けができ、より先鋭化した一握りのデザイナーのみ生き残るでしょう。

クライアントワークをやめ、直接サービス提供を行う「ベンチャー系デザイナー」

 ツールや各種フレームワーク、オープンソースの良質なソフトが揃ったことで、デザイナー自身の手で(あるいはプログラマーとのミニマムな連携で)高度なシステムを構築することが可能になってきました。クライアントワークをやらず、直接ユーザーを抱えるサービスを提供することで、そこから直接利益を上げたり、ある程度のユーザー数を達成した後、買収されるのを狙うということも現実的な話です。近い未来の話として、Facebookのようにmixiがプラットフォームを公開すれば、ここの分母も増えていくことでしょう。


 ほかにWEBデザイナーとして生き残る道は、一般の企業内で情報管理・広報業務としてやっていくことです。どれでもない人々は、中国やインドと価格競争しつつ(以下略)。残念ながら最早それはデザイナーとは呼ばれないでしょうが。

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Author:
浜垣靖幸(Yasuyuki Hamagaki)

北海道札幌市のデザイン&デザインマネジメントファーム、株式会社ノイエカ代表取締役(2005年より)。デザイン会社・グートグラフィカ(2001〜2005)設立を経て現職。

主にクライアント企業のビジョナリー化をデザインを用いて支援する業務、公共・行政機関、教育機関などのデザインマネジメント、アーリーステージ企業の情報戦略支援を本業とする。必要に応じてプロダクトやWEBなどのコンベンショナルなデザインも行う。

hmj@neueka.com