デザインはホスピタリティ [2007-11-19]

※以前はてなブログで公開していたブログ(札幌のデザイン会社はIPOの夢をみるか)の引越版です。このエントリーは内容的に古くなってます。hatena内のリンクが残ってたら見逃してください。。。

と、強く言い切ってしまいたい。

特にwebやアプリケーションのユーザーインタフェイスを構築するときに、どこまで本当にユーザーの使い勝手を掘り下げて考えられたか、おもてなしの気持ちでフローを組み立てたかで、サービス全体の善し悪しが印象づけられてしまうと思います。

企業などのwebサイトで見られるごくシンプルなお問い合わせフォームでも、スムーズに使えて気持ちのいいエクスペリエンスが得られるものと、そうではない、眉をしかめてしまうような代物が存在しています。その差はやはりそれを作った者のホスピタリティに対する考え方が大きく影響していると思われます。

もう十数年前ですが、ホテルマンのアルバイトをしたことがあります。駅前の大きなビジネスホテルで、客室数は400以上あったかと思いますが、夜間のフロントはたった3人しかいません。この夜間のフロント係というのをやっていました。(アルバイトとしては当時かなり高給の部類)

夜中のビジネスホテルというのは正にカオスで、定型化できない業務(トラブルともいう)が毎日毎日さまざまな形で降りかかってきます。酔っぱらいが暴れるなんていうのは序の口で、

  • こわい人が集団できて泊めろとすごむ(が、満室)
  • ロシア人が窓からテレビを放り投げる
  • オーバーブッキングで部屋が全然足りない(当然満室)
  • 霊がいるから部屋を変えてくれといってくるおばちゃん(が、満室)
  • 屋上で靴を脱いで下を覗き込んでいる人(・・・)

などなど、日替わりで起こる出来事に、基本的に自分たちだけで対処しなければならないわけです。

もちろん「幽霊が出た場合の業務フロー」なんてマニュアルにはないわけで、その都度「一番お客さんが納得できる解決方法」を素早く考えだして提示しなければ、クレーム(ホテルは一番これを恐れる)になってしまいます。

例えばオーバーブッキングで部屋が足りない場合、同系列や近隣のホテルにお客様を振り替えてそちらに泊まっていただくしかない(まさかロビーに毛布で寝てもらうわけにはいかない)ので、そうするわけですが、

  1. 謝る。ともかく謝る
  2. 理由の丁寧な説明
  3. 従って頂くためのインセンティブ
  4. 問題が起きないよう手配(関係先への連絡等)
  5. 同行した上でチェックイン等の手続きを代行
  6. 後日のフォローアップ

が、おおむね対応の合格ライン。

これを最小の労力で、

  1. 説明、案内、以上。

で終わらそうとすると、大変に問題があるわけです。

もちろん説明して振り替え先のホテルの地図でも渡せば事は済むわけですが、サービスを提供するほうとしては決定的に何かが足りていない。そしてそんなことをすればホテル全体(系列ホテルだったのでグループ全体)のイメージに傷がついてしまうことにも成りかねません。そんなホテルにまた泊まりたいと思う人はいないですし、友人や同僚に勧めるわけがありません。

が、恐ろしいことに

  1. 説明、案内、以上。

で済まそうとする、そして実際にそれしか実装されていないインターフェイスが割に存在しているように見受けられます。

これはもう、そのフローをデザインした人間の人生経験値が足りていないと思うわけです。きちんとしたサービスを受けたことがない人間が優れたエクスペリエンスを提供できるわけがない。


というわけで、会社スタッフでの「ちょっと背伸びしたとこでランチミーティング」(最近さぼってるけど)やら、「かなり背伸びしたとこでの忘・新年会」などを行うわけです。なにも美味しいものを食べるためだけにやってるわけではないのだけれども、「デザインはホスピタリティである。」ということをきちんと説明してなかった気がするので、単なる社長太っ腹ごちっすで終わっていたような。

反省。

♪Each And Every One / Everything But The Girl

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Author:
浜垣靖幸(Yasuyuki Hamagaki)

北海道札幌市のデザイン&デザインマネジメントファーム、株式会社ノイエカ代表取締役(2005年より)。デザイン会社・グートグラフィカ(2001〜2005)設立を経て現職。

主にクライアント企業のビジョナリー化をデザインを用いて支援する業務、公共・行政機関、教育機関などのデザインマネジメント、アーリーステージ企業の情報戦略支援を本業とする。必要に応じてプロダクトやWEBなどのコンベンショナルなデザインも行う。

hmj@neueka.com